恥ずかしながら…幾つになっても褒められたい
女性はいつまでも「綺麗」と言われたい生き物か…
母が通う病院で、いつも会うご婦人がいる。
お化粧もされて、背筋もピンとして、母よりは少し若いだろうか。
その方は「若いころ、お綺麗でモテたでしょう」と母に会うたびに言って下さる。
「そんなことないですよぉ」と返す母は笑顔だ。
そして母もその方に
「お姉さんもホントお綺麗で…女優さんみたいですね」と伝えて
「いえいえ…そんな…」相手の方も、にこやかな表情。
褒め愛っこの、ご挨拶がルーティーン化している。
病院の特性上、お互いパジャマ姿
それでも、ふたりはまんざらでもない誇らしげでもあって
見ている私は微笑ましい気持ちで面白がっている。
母にいたっては帰りの車中で
「そんなに綺麗かなぁ」とつぶやき、思い出して喜んでいる。
うん。なんだか幸せそうだ。
最近、母が介護リハビリに行くようになって
その時の出来事を教えてくれる。
先日はその施設の社長が来て
母のもとに近づき、初めましての挨拶をしてくれたそうだ。
そんな中で「ぼく幾つに見える?」と聞かれたらしい。
母は60代だろうな…と思いつつ「40代?」と伝えたそう
完全にリップサービスである。
施設の社長はにこにこ笑顔で
「60代ですよー」と嬉しそうだったわ~
楽しませてあげてきたーーー
と報告する母も楽しげだ。
きっと施設の社長も
もちろんリップサービスだと分かっていたことでしょう。
それでもその会話が、温かなものだったのだろうな…と想像できて、私もほっこり。
母のこういうサービス精神はスゴイな
といつも尊敬している部分。
40代越えたら若くみられるのが嬉しいもんね
幾つになっても褒めてもらえるって気持ちいい。
私は今、ゴミ屋敷になっている実家を片付けている。
まだ使えるものは残しておく主義の母が貯めた品々4DK+倉庫
大量のゴミをせっせと分別しては処分場へ運ぶ。
手続きのためには窓口へ行き、事前に書いた申請書を渡さなくてはならない。
ゴミを捨てた後は、また窓口へ行きお金を支払って終了だ。
窓口にはいつも60代ぐらいのおじさまがいる。
小柄で、くしゃっとした笑顔がいい。
ここ最近、何度か行っているので顔見知りになってきている中
お金の精算をしていた時に
私の指先を指差して「つめ可愛いね」と言ってくれた。
毎月デザインをかえながらネイルサロンできれいにしてもらっている爪だ。
思わず、すべての爪が見えるように両手を広げて見せる。
「クリスマスだね~」とにこやかに反応してくれた。
そんなことを言われるとは思ってなくてビックリしつつも
「ありがとうございます」とにっこり笑顔で返す。
車内に戻った私は
可愛いね
可愛いね
可愛いね
もはや爪だけでなく自分自身に言われたかのように感じつつ
心の中で言葉をリフレインして気持ちいい帰り道となった。
褒められると、照れがあったり、恥ずかしい気持ちもあるけれど、やっぱり心の中ではガッツポーズ。
連日のお片付けで疲れていたけれど、疲れも吹っ飛ぶ威力。
ニヤニヤしながら車の運転をして帰宅。
褒めパワーってすごい。
今でこそ私、褒められたら素直に喜ぶことができていますが
以前は褒められても「いえいえ…そんなことないですよ」と受け取らず
そういう建前的な会話が苦手でした。
とある本で
「褒められたら、ありがとうと受け取りましょう」
「褒めたのに受け取ってもらえないのは悲しいこと」
「受け取らないのは相手の好意を拒絶しているのと同等」
と書かれているのを読んでから「ありがとう」と受け取ることにしたのね。
そこから本当に
人生が消化試合のようだったのが
オセロゲームのように1つひっくり返したら
パタパタパタっと好転していくように変化していった。
素直に「褒めて」
素直に「ありがとう」がいい
私も、もっともっと語彙力を増やして褒め上手になって、これからも笑顔を届けられる人でありたい。